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第7話 歩合給という厳しい世界〜足切り制度との戦い〜

タクシードライバーとして働き始めて、最初に驚いたのは給与制度でした。

タクシー会社の給与は、固定給よりも歩合給が大きな割合を占めています。

そして、その歩合給には**「足切り制度」**という仕組みがありました。

一定の売上を超えなければ歩合給は発生しません。

売上が基準に届かなければ歩合給はゼロ。

もちろんマイナスにはなりませんが、その基準を超えるかどうかで収入は大きく変わります。

つまり、努力した人とそうでない人の差が、はっきり給与に表れる世界だったのです。

32年間、正社員として働いてきた私にとって、この制度は衝撃でした。

営業職時代は、固定給に加えて成果に応じた報奨金が支給される仕組みでした。

しかしタクシー業界では違います。

努力した分だけ収入が増える。

逆に努力しなければ、その結果がそのまま給与に反映されます。

とてもシンプルで厳しい世界でした。

私が足切りになったのは、最初の一か月だけ。

それ以降は、一度も基準を下回ることはありませんでした。

これは営業時代から大切にしてきた**「現場第一主義」**のおかげだったと思います。

管理職になっても現場を大切にしてきた経験が、お客様との接し方や営業にも生かされていたのかもしれません。

タクシー業界は高齢化が進み、年金を受給しながら働く方も少なくありません。

ゆったり自分のペースで働く人。

昭和の時代を生き抜いた、売上第一で走り続ける人。

本当にさまざまな先輩方がいました。

一方で、焦りや無理な運転が事故につながることもあります。

私は幸い15年間交通違反がなく、ゴールド免許を維持しています。

先輩から、

「お前はタクシー運転手に向いてるよ。」

そう声を掛けてもらえた時は、とても嬉しかったことを覚えています。

それでも、休日はじっとしていませんでした。

タクシーが休みの日には、派遣社員としてコールセンターでも働いていました。

少しでも家族の生活を支えたい。

その一心だったのです。

私はいつも思っています。

自分で自分を評価する人は、自惚れになってしまう。

本当の評価は、自分ではなく周りの人が決めてくれるものです。

必ず誰かが、自分の頑張りを見てくれている。

私はそう信じて働いてきました。

ちなみに、私の乗務成績は飛び抜けていたわけではありません。

乗務員全体で言えば、**「中の上」**くらいだったと思います。

それでも、安全運転を第一に考え、お客様から「ありがとう」と言っていただける仕事を続けることが、私にとって一番大切な評価でした。


次回予告

第8話 隔日勤務という働き方

〜20時間を超える長い一日〜

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