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第11.5話 妹からのSOS 〜家族がもう一度向き合った日〜

大分へ転勤してから3年が過ぎました。

裕太は大分県立盲学校中等部で充実した学校生活を送っていました。

私は仕事で九州各地を飛び回り、家を空けることも少なくありませんでした。

そんなある頃から、彩音の様子に少しずつ変化が見え始めます。

「お父さん、裕太と彩音、どっちが可愛い?」

「どっちが好き?」

何気ない質問でした。

私はそのたびに、

「どっちも一番だよ」

と答えていました。

しかし今振り返ると、それは彩音からのSOSだったのかもしれません。

裕太の視覚障害のことで家族みんなが支えることに必死になり、

知らず知らずのうちに彩音へ負担をかけていたのかもしれません。

「裕太は目が悪いんだから」

そんな言葉を何気なく口にしていたこともありました。

兄を思いやる優しい子だったからこそ、自分の気持ちを我慢していたのでしょう。

学校生活の中でも人前で話すことが難しくなり、心配する場面が増えていきました。

祖父母も大変心配していました。

そしてある日、

「福岡へ戻ってきてほしい」

と強くお願いされました。

私たち夫婦も何度も話し合いました。

その結果、家族にとって大きな決断をすることになります。

私は仕事の都合で大分に残る。

妻と彩音は福岡へ戻る。

そして裕太は福岡県立盲学校高等部の寄宿舎へ入る。

家族が三つの場所で暮らす生活の始まりでした。

決して望んだ形ではありません。

しかし家族みんなの未来を考えた末の決断でした。

今思えば、この選択がその後の家族を支える大きな転機になったのだと思います。

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