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第22話 入退院を繰り返す日々〜「ステーキが食べたい」母の笑顔〜

食欲は元気の源

がんによって狭くなった胆管に、胆汁の流れを良くするためのステントを入れる内視鏡治療が行われました。

治療は無事に終わり、母は再び施設へ戻ることができました。

施設のスタッフの皆さんも、母の体調を気にかけながら、本当に親身になって接してくださいました。

家族として、どれほど助けられたか分かりません。

本当にありがたいことです。

とはいえ、これで安心というわけではありません。

私は施設の方に、

「母の体調が少しでもおかしいと思ったら、すぐに連絡してください。」

とお願いしていました。

病院への通院は、これまで通り私が付き添います。

母は耳がかなり遠くなっていましたが、右耳の近くで大きな声で話しかけると聞き取ることができました。

そんなある日の診察でのことです。

母が突然、主治医の先生に言いました。

「先生、ステーキが食べたい。」

先生は母の右耳のそばまで顔を近づけ、大きな声で答えてくれました。

「いいですよ!好きなものを食べてください。」

すると母はニコッと笑い、すぐに私の方を見て、

「順ちゃん、いいって先生が言いよるよ〜。」

その嬉しそうな顔を見たら、もう答えは一つです。

病院からの帰り道、二人でステーキを食べに行きました。

目の前に運ばれてきたステーキを、美味しそうに食べる母。

病気のことを忘れたかのような、いつもの母の笑顔がそこにありました。

その姿を見ながら、私は思いました。

「やっぱり食欲って、元気の源なんやな〜。」

何を食べれば体に良いのか。

何を控えたほうがいいのか。

もちろん、それも大切なことです。

でも、母が「食べたい」と思ったものを美味しそうに食べ、笑顔になってくれる。

あの頃の私にとっては、その笑顔を見ることが何より嬉しいことでした。

病院への付き添いも、施設とのやり取りも大変でした。

それでも今振り返ると、病院帰りに母と二人で食べたステーキも、大切な親孝行の思い出です。


次回予告

第23話
退院祝いはスシロー

入退院を繰り返しながらも、食べることを楽しみにしていた母。

退院したら、今度は大好きなお寿司。

母と一緒にスシローへ向かいます。

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