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10.162026
第26話 施設をもう一度探す〜母が自分で選んだ新しい住まい〜

「ここがよか」母が決めた新しい場所
大学病院での検査は、2日間にわたって行われました。
いろいろな検査を受けているはずなのに、母は私にこんなことを言います。
「順ちゃん、ここの看護師さんは針を刺すのがうまか〜。」
そんなところを褒めるんかい(笑)
でも今になって思えば、母なりに私に心配をかけないよう、明るく振る舞っていたのかもしれません。
そして検査の結果、医師から説明を受けました。
告げられたのは、**「余命4ヶ月」**という言葉でした。
以前にも余命についての話を聞き、それから何年も頑張ってきた母。
しかし今回は、病気が進行していることも分かっています。
私たち兄弟も、これからのことを考えなければなりませんでした。
いろいろ考えた末、兄弟4人が集まり、母と一緒に食事をすることにしました。
久しぶりに子どもたちが全員そろったのを見て、母は嬉しそうでした。
ところが母は、みんなの顔を見ながら笑って一言。
「そろそろなんやろ?」
私たち兄弟は、
「違うよ〜。」
と笑いながら返しました。
母も笑う。
私たちも笑う。
お互いに本当は何となく分かっていたのかもしれません。
それでも、いつもの家族らしく笑いながら言葉のキャッチボールをしていました。
一方で、現実的な問題もありました。
母の状態では、これまで暮らしていた要支援1・2を対象とする施設での生活を続けることが難しくなってきました。
長い間お世話になり、母自身もすっかり慣れ親しんだ場所です。
しかし、退去に向けた準備を始めなければなりません。
再び、母の新しい住まい探しが始まりました。
私は母と一緒に何ヶ所か施設を見学しました。
ところが母は、
「嫌や。」
どこへ行っても、その一点張り。
以前の施設探しの時と同じです。
「また始まったな〜。」
そんな気持ちにもなりました(笑)
その中で、これから新しく建つという施設が見つかりました。
まだ完成前でしたが、母と妹と私の3人で話を聞きに行くことにしました。
そこで対応してくださった施設長さんの話が、とにかく面白い。
母も楽しそうに話を聞いていました。
そして、それまで何ヶ所見ても「嫌だ」と言っていた母が、自分から言ったのです。
「ここがよか!」
私と妹も驚きました。
でも、何より嬉しかった。
最後は誰かに決められるのではなく、母自身が、
「ここで暮らしたい。」
と思える場所を選ぶことができたからです。
新しい施設で、母が少しでも安心して過ごせるように。
私たちは、また新しい準備を始めることになりました。
次回予告
第27話
24時間看護という選択
病気が進行する中、これから母に必要になるのは何なのか。
家族が選んだのは、24時間看護に対応した新しい環境でした。
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