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第16話 リコージャパン入社 〜社会人として踏み出した第一歩〜

第16話 リコージャパン入社 〜社会人として踏み出した第一歩〜

筑波技術大学で4年間学び、多くの仲間と出会いながら成長してきた裕太。

大学卒業後、いよいよ社会人としての第一歩を踏み出します。

就職先はリコージャパンでした。


リコージャパンへの入社

就職が決まった時、正直ホッとしました。

未熟児として生まれ、視覚障害を抱えながら歩んできた人生。

親としては、社会に出て自分の力で生きていけるのだろうかという不安もありました。

そんな中で決まったリコージャパンへの就職。

障害者雇用に積極的に取り組む企業としても知られていますが、それでも簡単な道ではありません。

大学で学び、努力を積み重ねてきた結果だと思っています。

私は心の中で、

「よく頑張ったな」

とつぶやいていました。


初めての給料

社会人になってしばらくした頃でした。

裕太から連絡がありました。

「お父さん、初任給出たよ」

そして続けて、

「3万円送るね」

と言うのです。

私は驚きました。

社会人になったばかりです。

家賃もある。

食費もある。

光熱費もある。

生活するだけでも大変なはずです。

「そんなことしなくていいぞ」

と言いながらも、ありがたく受け取りました。

金額ではありません。

その気持ちが嬉しかったのです。

保育器の中で生きるために頑張っていた小さな命が、今は親を気遣う大人になっていました。


初めての一人暮らし

埼玉県和光市で始まった一人暮らし。

大学時代の寮生活とは違い、本当の意味での自立生活です。

とはいえ、最初の準備は家族総出でした。

冷蔵庫。

洗濯機。

電子レンジ。

パソコン。

布団。

生活に必要なものをそろえ、設置まで済ませました。

おかげで生活面では大きな問題もなく、新生活をスタートすることができました。

また、埼玉県から東京まではアクセスも良く、通勤にも便利な環境でした。


総務部への配属

裕太は総務部へ配属されました。

会社としても、視覚障害のある社員が能力を発揮できる仕事を模索してくださっていたと思います。

多くの上司や同僚の皆さんが温かく接してくださり、支えてくださいました。

本当に感謝しています。

しかし社会は決して優しいことばかりではありません。


理解されない悔しさ

視覚障害は外見だけでは分かりにくい障害です。

だからこそ、

「なぜできないのか」

「なぜ時間がかかるのか」

を理解してもらえないこともあります。

中には障害への理解が十分ではない方もいたようです。

仕事で悔しい思いをしたこともありました。

思うように評価されないこともあったでしょう。

理不尽だと感じることもあったと思います。

それでも裕太は、家族に上司や同僚の悪口を言いませんでした。

悔し涙を流したことはあっても、人を責めることはありませんでした。

それは子どもの頃から変わらない裕太らしさでした。


視覚障害を持ちながら働く現実

視覚障害がある中で働くことは、決して簡単なことではありません。

本人の努力だけでは解決できないこともあります。

周囲の理解。

職場環境の整備。

適切なサポート。

そうしたものがあって初めて能力を発揮できる場面もあります。

だから私は、障害者雇用とは単に雇うことではなく、お互いを理解し合うことが大切なのだと感じています。


親として見守るということ

子どもが社会人になると、親ができることは少なくなります。

困った時に代わりに解決することはできません。

仕事も人生も本人が歩いていくしかありません。

だからこそ、

「全力で守りたい」

という気持ちと、

「自立してほしい」

という気持ちの間で揺れることもあります。

親としてできることは、いつでも帰ってこられる場所でいること。

そして信じて見守ることなのだと思います。


今、思うこと

1240gで生まれた息子。

未熟児網膜症。

弱視。

いじめ。

寄宿舎生活。

大学進学。

そして社会人。

振り返ると、決して平坦な道ではありませんでした。

それでも一歩ずつ前へ進んできました。

今では職場でも経験を積み、少しずつ力をつけています。

親として願うことはただ一つ。

誰かと比べるのではなく、自分らしい人生を歩んでほしい。

それだけです。


次回予告

社会人として歩み始めた裕太。

仕事にも慣れ始めた頃、新たな試練が訪れます。

それは幼い頃から抱えていた身体の問題と向き合う出来事でした。

次回、

「第17話 睾丸がんとの闘い 〜再び訪れた家族の試練〜」

家族全員が祈るような気持ちで過ごした日々についてお話しします。

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