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10.112026
第21話 好きな物を食べさせよう〜家族が決めたこと〜

できることは、まだある
母の診察には、いつも私が付き添っていました。
妹からは、こんなことを言われていました。
「先生から何を言われるのか怖いし、説明を聞いても私には難しくて分からない。順ちゃんが先生の話を聞いて、後から教えて。」
だから私は、母と一緒に診察室へ入り、主治医の先生の説明を聞く役目を担っていました。
ある日の診察で、先生から母の病状について詳しい説明がありました。
胆管の一部が塞がり、肝機能にも影響が出ているとのことでした。
「これから黄疸が出てくるようになったら注意が必要です。」
そして先生から、最初に大きな手術をしないという選択をしていたことも踏まえ、今後も病状を見守っていくかどうかを尋ねられました。
私は先生にお願いしました。
「できる範囲で構いません。母の体を少しでも楽にしてあげてください。」
先生は私たちの気持ちを理解してくださり、胆管の流れを確保するためにステントを入れる処置をすることになりました。
ただし、病気そのものを治すための治療ではなく、症状を和らげるための処置です。
これからは母の体調や病気の進行を見ながら、その時々でできることを考えていくことになりました。
以前の私は、
「脂っこいものは控えてね。」
「牛肉やラーメンもあまり食べんほうがいいよ。」
そんなことを母に言っていました。
すると母は、
「順ちゃん、そしたら私の楽しみが一つもないやん。」
そう言っていました。
その言葉が、ずっと心に残っていました。
病気のことばかり考えて、母の楽しみまで奪ってしまっていいのだろうか。
残された時間がどれくらいあるのかは、誰にも分かりません。
それなら、できるだけ母の好きなものを食べさせてあげよう。
そして、できるだけ笑って過ごしてもらおう。
それが、この頃の私たち家族の願いになっていきました。
次回予告
第22話
入退院を繰り返す日々
少しずつ弱っていく母の体。
入院しては施設へ戻り、また病院へ。
母と家族にとって、病気と向き合う日々が続いていきます。
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